よく行く居酒屋さんのトイレに今年から貼ってあるカレンダーには、説教じみた言葉が添えられたイラストが月変わりで描かれている。こういうものは嫌いだが、こんなものが好きだという人も周りにも意外にたくさんいるのだということで、勉強になるなと思っていた。
しかしある日、トイレから戻ったおかみさんが言った。
「いやー、うちのトイレのカレンダー、毎月偉そうで嫌だわー」
私はホッとした。少なくともおかみさんも嫌いらしい。お客さんが持ってきたので仕方なく貼っているらしい。
そして昨日、これまたトイレから戻った知らないお客さんが言った。
「俺が持ってきたあのカレンダーさ、やな感じだったな」
この人が持ってきたのか。そしてその張本人も好きじゃないのか。誰も好きじゃないんじゃないか。
今年も残りわずか。誰からも好かれていないあのカレンダーも、ここまできたら任務を全うするんだろうな。