昨日は知人関係者の葬儀で知らない土地へ行き、その流れで、田舎のビジネスホテルに一泊だけ素泊まりすることになった。
そのホテルはよっぽどマイナーなチェーンなのか、チェーンではないのか、聞いた事のない名前で、一見普通のビジネスホテルなんだけど少し古くて汚い。でも観光地でもなければ都市という感じですらない田舎なので、ホテルがあっただけ良かった。すぐ近くに駅はあるけど帰りの電車はもうない(承知済)。
ホテルに荷物を置いてほっとしたところで、晩ご飯どうしよう‥‥と思った。もう夕方、どら焼きを1つ食べただけだったので猛烈にお腹が空いている。
急な出費だったので、宿はとにかく安く! でも最低限、安心して寝られるところを! としか考えてなくて、食事は近所のミスドやマックでもいいや! って思ってた。でも、ここへ来るまでミスドどころかコンビニすら一軒も見ていない。地図にあったコンビニは、コンビニ跡地になっていた。
こんなことなら、よく知らない人にでも大きな駅まで送ってもらえば良かった。知らない人に囲まれて気疲れしたせいで、とにかく早く一人になることを優先してしまって、
「旅行気分でのんびり帰るつもりなので大丈夫です」
なんて適当なことを言ってこうなってしまった。
スマホで地図を見ても周りは畑と民家ばかり。それでも1キロくらい離れたところに商店と食堂が一軒ずつあるみたい。そんな食堂に一人で入れるのか?
ホテルのフロントの人に尋ねようかと一瞬考えたけど、その人の優しさで、なにか遠慮しておきたいものを猛烈に勧められたりすると気まずい。
私は “何も問題ありません” という顔でフロントに鍵を預けて出かけた。
地図を頼りに歩いて行くと思ったより早く食堂が見えてきた。でも離れたところから見ただけで “無理” ってなった。1秒も迷わなかった。
もともと赤かったんだろうなというピンク色の庇が破れた食堂の前を通り過ぎ、残る商店へ。次の角を曲がったところだ。
ガーン。商店はあった。しかし、仏花とか、切手とか、洗剤とか、そういう商品が目につく、いかにも田舎の商店。予想はしてたけど、空腹状態で実際に見ると凹む。
それでも食品らしきものも見えて、こうなったら何でもいいやと入店。
“ガラガラ” という擬音を入れたいところだけど、確か普通のガラスドアだった。“キー” と大きな音がするのでチャイムいらずだ。
意外にもすぐにおばさんが出てきて、そっけなく事務的に
「いらっしゃいませ」
と言った。
店内を見渡す。ドリンク、お酒、仏花、洗剤、化粧品、ノート、週刊誌、インスタントコーヒー、調味料、カップ麺‥‥。
「最悪カップ麺だな、ホテルでお湯もらえるかな」
なんて思いながら、おばさんに尋ねる。
「パ、パンとかありますか!」
「パン、あるよ、ほらそこに」
やったー! パンある! アンパン、クリームパン、カステラパン、謎の地味なパン。
困ったラインナップだけど、その時はそれが嬉しかった。
こんな事情で昨夜のディナーは、田舎の決して綺麗ではないビジネスホテルの狭い部屋で、アンパンとクリームパンを食べた。これで惨めにならないはずがない。
翌朝の帰り、駅の売店が開いていたので朝食にしようと覗いたら、おにぎりやサンドイッチがあった。ここ昨日の夕方も開いてたかも! こっちにすれば良かった! でもこっちだって惨めさはあまり変わらないな。