雨上がり、友人と自転車散歩。どんどん坂を下る友人を、やれやれという感じで追いかける。こりゃ帰り道が少し大変だけど、まあいいやと思う。
しばらくして、戻るときは上り坂だと今さら気付いた友人が言う。
「もう坂の下で暮らす」
たまにこういうことを言う人だけど、真顔だから慣れるまではやり難かった。
「動物だったらそうできるかな」
「どうだろう、縄張りとかあるかも」
帰り道は自転車を押しながら、緩やかで長い坂を上ってきた。少し前を行く女子中学生2人組も、同じ坂をいつものことのように、自転車を押しながら上っていた。なぜか彼女たちが特別仲良しに見えた。